サディズム・マゾヒズムの治療について~京都心療内科コラム

サディズム・マゾヒズムというものをご存知でしょうか。

もちろん「知らない」という人は、この現代、いないと思います。

サディズムは、相手を攻撃することによって性的興奮を得る性癖。
マゾヒズムは、逆に攻撃されることによって性的興奮を得る性癖のことです。

めっちゃザックリ説明しました。

いわゆる「SM」として略されることの方が多いですね。

こちら、一般的に、もうかなり軽い意味で使われておりますが、実は精神医学では「病気」に分類されます。

もちろん、病気とまで診断されるのは、かなり重度な状態。
サディズムが行き過ぎて傷害や虐待で逮捕されるとか、マゾヒズムが行き過ぎてケガをして入院とか、そんな「生活で困る」レベルに至ってはじめて「病気」になります。

そして精神医学者であるリチャード・W・ロゥキマが、サディズム・マゾヒズムの治療について述べたのが、上記のセリフです。

サディズムの患者は、虐待で逮捕されないかぎり、そもそも治療に来ない。
マゾヒズムの患者も、自分で改善しようと思うことはほとんどなく、まったく治療に来ない。

いや全然治療の話ちゃうやん、と思うのですが、先生の患者体験が、リアルにこうだったのでしょう。

そもそもSMに限らず、アルコールやタバコなどふくめて、依存こと、本人にとって気持ちいいものは、なかなか治療しようとは思いません。
不眠症やうつ病など、本人にとって「つらい」ことなら治療したくなるため、多くの患者さんが来院されるのと対比的ですね。

そのため「警察に逮捕される」とか、そういう明らかな「つらい」ことが起こるまで、治療しようと思わないのです。

ただ実際治療を受けたとしても、一回では改善しづらいので、何度も治療を受ける必要があります。そして大半が、その途中で挫折や離脱します。

………。
あらためてそういう行為の治療って難しいものだと思いつつも、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)